カラスは、みんなから嫌われている。
まっくろだからだ。
みんなが見たまんまで、判断した。
誰かが
「あいつは不吉だ。悪いヤツだ。」
そう言うと、みんなが
「そうだそうだ。あいつは悪いやつだ。」
声を荒げた。
カラスは醜いあひるの子のように
いつか、美しい白鳥になれることもない。
ずっとずっとまっくろな姿のままだ。
ボクもそうだ。
生まれつきすっごくひどい天然ぱーまだ。
むかしはそれが嫌で嫌でしょうがなかった。
たまらなくなって美容院にストレートパーマをかけに行ったら
美容院のお兄さんに笑われた。
「これじゃあ無理だな。」
そう笑っていた。
落ち込んだ、そんなオレを見てカラスも笑った。
カラスはどんなに自分の姿が嫌だからといって
羽をむしったり、泥水に浸かったりはしないんだと。
この世の中には肌のいろが
黒いひと、黄色いひと、白いひと、たくさんたくさんいる。
それだけのことで人は武器を取り、そしてみんなから同じ赤い血がたくさん流れた。
カラスを見ていると、そんな自分がアホくさくなってしまう。
オレの髪の毛が、さらさらのストレートだったら君はオレを友人にしてくれたかい?
カラスは大空を羽ばたいていた。
狭い世界では狭いことしか考えられないのか。
ひとは本当の空を知らない。
ひとがカラスのように空に羽ばたくことが出来るなら、そんなことも考えないのかもな。
なあ、カラスよ。オレはおまえがいるその空を目指すよ。
そうしたらもっと自分のこと好きになれるかな?
自分の髪の毛を、指をくるくる巻きながら空に聞いた。
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